海外の大学病院眼科の症例検討会(Grand Round)ってどんな感じ?印象に残ったスーパー研究者をご紹介します

  • 2019年10月8日
  • 2023年1月15日
  • 研究
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僕はカナダのハリファックスというところにあるDalhousie大学でポスドク研究員としてお仕事をしていました。

お仕事といっても、ポスドクといってひたすら研究をするのが仕事です。

ポスドクがどんな仕事をしてどれくらいの給料をもらえるかなどを詳しく書いているので覗いてみてください!

かず君PhD

日本人が海外でポスドク研究者を康場合、どれだけ給料がもらえて、どんな生活できるのか気になりますよね?今回の記事では、カナ…

所属している Dalhousie大学はとても大きく、眼科という部門で、基礎研究、臨床研究、外来のドクターを含めたら数えきれないくらいいます。

眼科では毎週水曜日の朝7:45から症例検討会 (Grand Round) が行われます。

Grand Round といっても臨床の若い先生が主に発表するというよりは、上級の先生方が若い先生に向けて講義をするというイメージの方が強いです。

また時に世界を代表するスーパースターを招いて講演をして頂くこともあります。

大学病院などに努めている方々は職場で同じようなカンファレンスがあるのではないでしょうか?

僕は世界の眼科を代表する Moorfields Eye Hospital に2年、視野とOCTの研究で有名な Dalhousie大学に1年在籍しました。

特に Moorfields は世界を代表する組織なのでスーパースターが勢ぞろいです。

今回は海外の大学の Grand Round ではどのようなスーパースターの講演が行われているのかTOP5形式でご紹介したいと思います。

教科書や論文でよく拝見する先生たちが身近にいるってすごいですね。

第5位 Prof Balwantray C Chauhan

Bal は僕がカナダにいた時の上司です。

物凄く優しい BOSS でカナダ到着初日に空港まで車で迎えに来てくださいました。

イギリス留学中に Bal から声をかけて頂きポスドクとして1年雇って頂きました。

Bal は Bruch Membrane Orphaning Minimum Rim Width の研究で有名です。

僕は緑内障の視野から研究が始まったのですが、やはりこの論文が印象的です。

普段何気なく年に3,4回のペースで視野検査をしていると思います。

これは2年間で MD 4dB 程度の進行を判定するには視野検査を少なくとも年3回行うのが好ましい。

と科学的な根拠に基づいて提唱した論文です。

勿論、進行を判定する MD の値によって視野検査の回数が異なります。

論文上ではそれぞれのパターンにおいてシミュレーションされています。

気になる方は読んでみてください。

Bal の研究室では毎週金曜日に研究室のミーティングがあり、そこでも勉強させて頂いております。

第4位 Prof. Sir Peng Tee Khaw

Prof. Sir Khaw は Moorfields に留学する前に北海道で行われた日本眼科学会の時に少しだけお話しさせて頂きました。

実は当時全く存じ上げておらず、所属が Moorfields だったので恐れを知らない僕は声をかけにいきました。

皆さん名前の前に “Sir” が付いているのに気付きましたか?

Sir の称号を頂く方は、日本で例えると国民栄誉賞を受賞したような方です。

Prof. Sir Khaw は、小児と大人の難治性の緑内障手術のスペシャリストです。

世界を代表する Moorfields の研究開発部門の Director でもあります。

これまでの功績から2013年に Knight Bachelor (ナイト爵) を授けられました。

講演の内容は医者に向けた手術の話なので共感できるところが無かったです。

しかしお金を払わないと聞けないような方から定期的なレクチャーを聞けて感動しました。

第3位 Dr. Pearse Keane

DeepMind って聞いたことありますか?

Google先生が開発した人工知能の名前です。

最近テレビやネットニュースで糖尿病の画像診断をAIでやると結構いい結果になりましたね。

と報道されたと思います。これです。

Moorfilds は Google と 共同研究の締結をし、この Dr. Pearse Keane が中心となって行っています。

さぞかし呪文のような講演になるのかと思いました。

このように頭の良い方は、知識のない方にも分かるように難しい表現は一切使わないんですよね。

また、見せられる範囲で DeepMind の施設の紹介がありました。

ラボミーティングでエンジニアが面白いゲームのアルゴリズムを書いて人工知能と戦わせた。

などぶっ飛んだ話もありました。

研究用の画像データは Moorfields 内にある  Reading Center に送られます。

人間の眼によって一枚一枚 segmentation のチェックや採用基準を満たしているかチェックしているというお話をしていました。

実際に Moorfields のスタッフでも関係者しか入れない Reading Center ですが、帰国前にお願いして見学させて頂きました。

第2位 Prof. David F Garway-Heath

Ted は Moorfields に留学していた時の上司です。

Ted も Bal に負けないくらい優しくて紳士な方です。

Ted は緑内障の視野とOCTに関しては世界でもトップクラスの業績を残しています。

その中でもひらちゃんが一番引用している研究論文はこれかと思います。

皆さんこのマップ見たことありますよね。

乳頭のどの部位が視野の24-2の測定点に対応するのか調べた研究です。

今当たり前のように使用されている機能と構造のマップですね。

実はTedが20年前に残した偉大なる功績なのです。

朝の講演で、Ted による Ted のマップの講演を聞いたときは贅沢でしたね。

第1位 Prof. John Martin Bland

誰この人?って思いましたか?

Bland-Altman plots と言ったら分かりますかね。

医学統計界で有名な Prof. Martin Bland です。

再現性の解析をする時に一度は触れたことのある Bland-Altman解析を考案したお二方のうちの1人です。

Lancet に掲載された伝説の論文はこちらです。

多いときで1日300回引用されたと仰っていました。

僕の論文は全部足してもその引用回数には届きません…。

眼科だけでなく医学会全体で有名な先生ですね。

講演では Lancet の論文の Revision の時のお話しなどを聞くことができました。

またこの写真が途中で提示され、

最近歳を取ってから Altman先生と同じ位置で撮った写真を横に提示して、再現性悪いですね。

っという再現性ジョークをぶっ放しておりました。

講演が終わりティータイムの時にいつも通り恐れを知らない僕は、Prof. Bland と記念撮影をして頂きました。

一生の宝物として保存してあります。

症例検討会の会場の様子

Moorfields でも Dalhausie でもコーヒーと軽食が用意されていました。

欧米人のコーヒー・砂糖・ミルクの消費量って尋常じゃないですよね。

日本にいた時は年功序列だったので、カンファレンスが終わってから残っていたら頂いておりました。

欧米ではそんなのお構いなしで、皆さんコーヒーを飲みながら優雅に聴講しております。

イギリスでは白衣は不衛生ということで誰も着ていませんでしたが、カナダではほぼ全員白衣を着ています。

文化の違いですね。

ブロンズの人が白衣をきるとカッコ良いんですよね。

迫力あります。

スクラブもめちゃくちゃ着こなしていてカッコ良かったです。

さいごに

Moorfields も Dalhausie もスーパースターが揃っていて、朝のカンファレンスがとても華やかでした。

学会などでお金を払って拝聴する内容をコーヒー片手に聴講できるなんて贅沢の極みです。

またスーパースターの講演があったらシェアしたいと思います。

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