人工知能によって視能訓練士が今後どうなるか?研究者の立場から考えてみた

こんにちは、ひらちゃんPhDです。

 KazukunORTPhD hirachan_ort_phd 留学先ハリファックスのブログ

今回は、人工知能によって我々視能訓練士の仕事ってどうなるかについて考えたいと思います。

ひらちゃんは人工知能の一つである機械学習をよく使って解析するのでなんとなく想像ができます。

あくまでも個人の意見です。

今後どうするかはご自身で納得して決めるのが一番かと思います。

研究者の立場からお話ししてみたいと思います。

人工知能 Artificial Intelligence: AI

人工知能って明確な定義は実はありません。

物凄くざっくり言うと、人間が知能を使って行っていることを同じように機械にさせているので、人工の知能すなわち人工知能と言われています。

皆さん人工知能というと映画のロボットを想像するかもしれません。

それらも人工知能なのですが、機械工学と人工知能を駆使して作られたのがそれらであって、医療の分野ではちょっと違います。

色々な解析方法があり、あまり細かく説明すると理解が難しくなります。

そのため眼科分野の研究で主に使われている、機械学習と深層学習(ディープラーニング)を簡単に説明します。

機械学習やディープラーニングなどの総称がAIです。

更に機械学習の中のニューラルネットワークの解析方法を発展させたものがディープラーニングなので、両者は別物と言うわけではありません。

ざっくりとした関係性は以下の通りです。

機械学習もディープラーニングもどちらも共通して必要なのがラベル付きの大量のデータです

ラベルとは、眼科で言うと正常眼なのか疾患を患った眼なのかです。

これは人の手によって最初分類(ラベル付け)をし、これを基に機械にパターンを学習させます。

そうすることによって、あるデータが正常なのか異常なのか診断できるようになります。

機械学習とディープラーニングはちょっと異なります。

機械学習は、データを学習させる際にに、診断に使う項目をマニュアルで選ばないといけません

例えば、緑内障のOCTスキャンの場合、緑内障は視神経や網膜上の神経節細胞の障害が検出されます。

そのため、乳頭形状の項目、神経節細胞層の項目、近視もリスクファクターだから近視の項目もいれいよう。

といった感じです。

その一方で、ディープラーニングは、診断に使う項目を選ぶ必要はなく、機械自体に正常眼と緑内障眼の特徴を見つけさせ学習させます

今どっちかと言うと、ディープラーニングの方が研究に活用されている傾向です。

ディープラーニングにもいろいろな種類がありますが、奥が深いのでイントロダクションはこの辺で。

ORTの職は無くなるのか?

答えとしては、半分Yesで半分Noだと思います

AIは上記でお話ししましたが、どちらかというと人間の脳(主に解析)です。

もし人のように自由自在に活動できるロボットを作るには、体の部分が限りなく人間に近いロボットを作る機械工学の発展が必要です。

これにはまだまだ時間がかかりますので、直接人に触れるような作業は人間のORTがやった方が正確で速いと思います

例えば、高齢者の瞼を上げながらの計測や小児の検査などどです。

ただ、小さな子供っておもちゃみたいなものに興味があったりするので、意外に早くAIが進出してくるかもしれません。

その一方で、直接接触する事なくできる検査は、数年以内にAIが搭載された機械によって大半が行われると思います

例えば、若い方の屈折・視力、視野検査、無散瞳のOCT・眼底写真、量販店のCL・眼鏡処方です。

えっ?解析とか関係ないじゃんと思いますが、むしろもっと低次元のプログラミングでORTの仕事を大幅に減らすことができるのです

順に考えてみましょう。

なくなりそうなORTの検査

屈折・視力検査

昔のオートレフケラトメーターは計測に時間がかかり、雲霧している間に調節が入ったりしていました。

しかし、近年のレフはスピードも速く精度が高いので、殆どの方がレフ値を入れれば最高視力がでます。

オートレフに自覚視力を測れる機能が付けば、あとは音声案内で解決します。

これは機械学習のような高次元のプログラミングは必要ありません。

画像認識のレベルでAIを発展させることによって、レフ値と赤外線の眼底写真から視力がある程度予測できるかもしれません。

もしこの一連の動きに対応できない方がいたらそういった方だけORTが測れば良いのです。

 

視野検査

レフみたいな形をしている眼底トラッキング視野計(COMPASS視野計、MP-3)が現在あります。

30-2、24-2、10-2 を ZEST というアルゴリズムで計測するので、従来のSITA-Standard と同等の結果を同じ検査時間で計測できます。

基本的に瞼の挙上が必要なく、応答がしっかりしていれば患者さん自身が単独で行う事が可能です。

もしこの一連の動きに対応できない方がいたらそういった方だけORTが測れば良いのです。

ちなみに、従来の測定アルゴリズム(SITA)にはベイズ法が使用されており、すでにAIが参入しています。

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無散瞳のOCT・眼底写真

昔のタイムドメインOCTの時は操作に結構コツが必要でしたが、今はオートアライメントが搭載されています。

検者はボタンを押すだけです。

音声案内で固視を誘導して最適なピントで自動計測にすれば、検者は必要なくなります。

ただ、眼瞼挙上が必要な方などは実際にORTがやった方が正確です。

また、ひらちゃんがいたロンドンの Moorfields では Google の Deep mind と共同研究をしてAIによる診断をガンガン研究しています。

近い将来、検診の撮影から診断までAIの方が効率的に行えるようになるかもしれませんね。

 

量販店のCL・眼鏡処方

この分野はAI参入が積極的になるのかなと思います。

何故なら、街中の量販店でCLや眼鏡を作る方は殆どが若い方で眼疾患を持っていないので、計測しやすいからです。

コンタクト眼科でアルバイトをしていて気づくのですが、殆どの方がレフ値で最高の視力が得られます。

少し弱めるか否かは、患者さんの自己判断に任せるようにアルゴリズムを組めば自動化は可能かと思います。

また、購入者の年齢や性別、職種などから最適なレンズやフレーム選択をAIが導き出すことも可能です。

こちらも同様に、この一連の動きに対応できない方がいたらそういった方だけORTが測れば良いのです。

時間の有効活用

AIが参入してきたら仕事がなくなる..。と不安になる必要はないと思います。

上記でお話ししたように、どうしても人間の手が必要なことも沢山あります。

しかし、単調な作業、規則性のある膨大な作業はAIがやった方が正確で速いです。

捉え方としては雑務をこなしてくれる人工社員かなと思います

これにより仕事の負担も減り、自分の時間を作りやすくなるので、色んな事にチャレンジできると思います。

また電子カルテを導入しているところでは膨大なデータが蓄積されているため、病院間で共有し、AIを使った研究もできます。

AIは敵ではなくものすごく有能な人工社員なんです

一人前のORTを育て上げるのに数年かかるところが、AIは数分の学習で完結します。

ひとつだけ注意しないといけないことは、

機械ができなかった事は実際に人間が行わないといけないので、日々の手技や知識の向上は常に心掛けないといけないことです

さいごに

個人的な見解でしたが、自分自身が機械学習などを使って研究しているので、概ね間違っていない予測だと思います。

時代というものは常に動いています。

現状に満足していると、痛い目にあうことも有り得ると思います。

皆さんが20年前に今のスマホを予測できなかったように、遠い将来なんて誰も予測できません。

でも近い将来の予測は常にアンテナをはって情報を仕入れていればできると思います。

生産性のある生活を送って下さいね!

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